2021年(丑年)新年のご挨拶(学校長)

一色高校創立70周年の試み

校長 村瀬 正幸

新年明けましておめでとうございます。

2021年、「丑」(ウシ)年の幕開けです。「丑」年は、「子」(ネズミ)年に蒔いた種が芽を出して成長する時期であるとされています。

一色高校は、今年、創立70周年を迎えます。スロースターターでも、先を急がず、忍耐強く、用意周到に準備をして、目前のことに着実に歩むウシをイメージし、昨年から蒔いてきた「大きな種」(一色高校版SDGs(「健全で安全な居心地の良い学校作り」・「愛する地域に向けた私たちの提言」のための取組)の芽が出ますように、教育活動の一層の充実・発展に努めて参ります。

中学校を卒業して一色高校に進学し、授業や部活動などを中心とした3年間の学校生活の中から、一色高生はどんな将来の目標を見出すことができたのでしょうか。新年のご挨拶にあたり、本校の全日制普通科に在籍する現3年生の高校生活の振り返りをここに紹介させていただきます。

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「私が高校3年間で力を入れたことは、部活動の和太鼓部の活動です。観客を魅了する演奏をするために心がけてきたことがあります。それは、公演の目的を踏まえ、曲目に合わせた楽器を選び、演奏する時の表情や動きを想定し、舞台全体のイメージを演奏者が共有することです。そのためには、事前の調べと話し合いがとても大切になります。時には、部員と意見が合わないこともあり悩みました。

私はこの活動から、協働することの大切さと困難さ、そして観客と一体となった演奏ができた時の喜びを知るとともに、1つのことを学びました。それは、全体を視野に入れつつ、それを成り立たせている要素に着目して、それらを組み合わせ、調和させることの必要性です。このことは、物・事をマネジメントすることの大切さにつながると考えています。

私には、ブラジルと日本という2つの祖国があります。学校では日本文化に触れながら、家庭ではブラジル育ちの両親の元、ブラジル文化の中で生活してきました。お互いが共生するためには、何よりも経済生活の安定が不可欠であることを日常生活の中から肌で感じてきました。これからの地域社会においては、グローバルな視野で持続可能性の観点から、異なる物・事・人をつなぎ組み合わせ、地域社会を活性化し、新たな価値を生み出すビジネスのマネジメントが必要であると考えます。

 私は、地域社会の活性化に関わる時代のキーワードは3つあると考えています。SDGsに代表される「持続可能性」、それを可能にするための物や事、人の「マネジメント」、そして、人の在り方に関わる「協働性」です。

私は、大学卒業後、地域ビジネスの創造に関わる仕事に従事したいと考えています。物・事・人をビジネスでつなぎ、異なる文化を持つ者同士が共生し続けることができるような地域社会作りに貢献したいと考えています。

高齢化社会や人口減少が急速に進んでいる日本では,外国人労働者を積極的に雇用し始めています。しかし、言語や経済生活上の問題から、外国人労働者は持続的なストレスを抱え、居住地を転々とする仲間を私は知っています。多文化共生を掲げ、住み続けることができる地域社会作りに向けて、ビジネスの側面から貢献できる人として活動することは、2つの祖国をもつ私の責任であると強く自覚しています。

私は、他の人と協力し合って何かに挑戦することはとても素敵なことだと高校時代に学びました。高校卒業後だけでなく、大学卒業後の展望も見出すことができた高校生活にとても感謝しつつ、今は次のステップに向けて取り組んでいます」(国公立大学グローバルマネジメント学部グローバルビジネス学科に合格し進学予定)

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3年間の高校生活の中で体験したことや学んだことから、これからの自分の在り方生き方を定めること、これが一色高校の目指す「キャリアプランニング」です。一色高校の卒業生が、生涯にわたり独自のエネルギーや輝きを地域社会に放つ日を私は期待してやみません。そのように巣立っていく生徒の皆さんたちの姿が私たち職員の誇りです。

創立70周年というアニヴァーサリーイヤーを迎える一色高校は、令和3年1120日(土)に記念式典及び記念行事を本校体育館で開催します。記念行事では、「愛する地域に向けた私たちの提言」と題して、2年間にわたる各種探究活動の成果発表会を計画しています。

これまで本校を支えてくださった地域社会の皆様、お世話になった義務教育諸学校の先生方、そして中学生をもつ保護者・中学生の皆様に向けて広く公開し、ポスト創立70周年の指針を頂戴したく、準備を進めております。会のご案内は、開催2か月前に本校公式ホームページの「お知らせ」に掲載させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。