ボヘミアン・ラプソディ

●「ボヘミアン・ラプソディ」、それは1973年にデビューしたバンド「クィーン」が1975年に発表した曲だ。同名の映画が今大ヒットしている。11月に日本で映画が公開され、3週間で、200万人以上の人がこの映画を観ている 。You Tube の閲覧者は、7億人以上だ。

●私はこの曲を高校生の時に知った。実に不思議な曲だと思った。詩の脈絡もなく、幾度も無く場面転換のあるこの曲が、なぜヒットしたのか理解できなかった。でも、なぜか「クィーン」の曲はほとんど知っている。曲「Radio GA GA」は、レディ・ガ・ガの名の由来だ。

●ところが、あれから40年近くたって、この映画を観て、ボーカルのフレディ・マーキュリーのことを調べてみて、「クイーン」の物語を知って、やっと私なりに、この曲を味わえたような気がする。

●この映画の中の「クィーン」・フレディ・マーキュリーに、世代を越えて多くの人が涙する理由は、「◯…◯」の<旋律>にあるのだろう。この◯…◯には、いろいろな言葉が当てはまる。次の言葉が私に浮かぶ。「号泣」「孤独」「苦悩」「愛」「家族」「告白」「葛藤」「青春」・・・「沸騰」「共感」「感動」「きずな」「超時空」「人生」「友情」「伝説」。みなさんは、どんな概念(特徴付ける言葉)をあてはめるだろうか?

●これらの概念のいくつかを「…」と「…」と結びつければ、味わいはもっと深くなることに気づく。そこに、「あなた」の「旋律」が生まれるのだ。

●この映画は、1985年にイギリスで開催されたコンサート「LIVE AID」(「1億人の飢餓を救う」をスローガンにした20世紀最大のチャリティ・コンサート)の中の「クィーン」で終わる。その6年後には、ボーカルのフレディ・マーキュリーは、すでに医師から宣告されていた不治の病でこの世を去る。そして2018年、世界が彼の曲に再び注目している。

●いろいろな味わい方ができること、いろいろなことを引き出せること、それがこの曲の魅力だと感じる。そして、人間の魅力もきっと同じなのだろう。あれから40年近くたって、それを発見できたことに私は喜びを感じている。

(村瀬)