(1)健全で誠実な「愛のカタチ」〜ホームルームから発信するSDGs(全学年の目標)

●「学校再開」という言葉が、これほど重みのある・価値あるものとして感じたことは、これまでありませんでした。これまで当たり前であったことができない現実があるからです。

●「人間という頭でっかちな動物は、目の前の輪郭(りんかく)のはっきりした危機よりも、遠くの輪郭のぼやけた希望にすがりたくなる癖(くせ)がある。だから、自分はきっとウイルスに感染しない、自分はそれによって死なない、職場や学校は閉鎖しない、あの国の致死率はこの国ではありえない、と多くの人たちが楽観しがちである。私もまた、その傾向を持つ人間のひとりである。甚大(じんだい)な危機に接して、ほぼすべての人びとが思考の限界に突き当たる。だから、楽観主義に依(よ)りすがり現実から逃避してしまう——日本は感染者と死亡者が少ない。日本は医療が発達している。子どもや若い人はかかりにくい。1、2週間が拡大か制圧かの境目だ。2週間後が瀬戸際だ。3週間後が分水嶺だ。一年もあれば五輪開催は大丈夫だ。100人に4人の中には入らないだろう。そう思いたくなっても不思議ではない。希望はいつしか根拠のない確信と成り果てる。」(京都大学准教授/藤原辰史)

●世界が、そして人類が、命を守り安心して暮らしていくためには、私たちの身の回りのこと=環境のことを真剣に考えなければならないことが、いっそうはっきりしました。人類は今、人と人との距離を保つこと(社会的距離を保つこと)と安心して活動できる環境作りの狭間で戦っています。世界の人々とともに、私たちも、その中にいます。

●こんな時期だからこそ、私たちにできることは何か、私は考えました(私はワクチンを作ることができません)。・・・私たちにできることは何か?それは、「誠実で安心できる居心地の良い学校生活の環境を作る」ことです。

●「誠実で安心できる居心地の良い学校生活の環境を作る」ことが、全学年の目標です。そのためにこれから行動に移す3つの目標の具体的にお伝えします。

「誠実で安心できる居心地の良い学校生活の環境」の出発点は、ホームルーム(H R)にあります。この目標を実現するために、各学年・各H Rは、学期ごと実現状況を診断できるクラス目標を担任の先生と皆さんで作ってください。これが一つ目です。

●何ができますか?いろいろあります。居心地の良いと皆が考えるH R・校内・W C・水場美化や整頓、掃除、教員・友達との挨拶やコミュニケーションのあり方、教員の指示以外の校内敷地内スマホ利用禁止ルール、提出物期日、H R内ゴミの減量状況、授業中のマナーの実現など、具体的な行動目標を定め、行動してください。一部の委員会も行動目標を設定します。

★その全てを生徒会が集約して、一覧表に掲げ、実現状況を見えるようにします。各H Rの独創的な行動目標とその実現を求めます。

②この「誠実で安心できる居心地の良い学校生活の環境」作りの先には、私がこれまで2・3年生に何度もした、ある考え方があります。何ですか?・・「S D Gs」です。これは、Sustainable Development Goals の略で、持続可能な社会の実現を目指すことを意味しています。国連が2030年の目標に設定しました。

高校生活に当てはめれば、持続可能な社会とは、居心地の良い学校生活です。まず、足元の学校生活・H R環境を見つめるということが大切になります。HRの行動目標とともに、二つ目は、世界や地域を視野に、このS D G sの理解を深めるための、教科の授業や総合的な探究の時間に取り組みます。これは、私の、皆さんの将来の生活に関わる問題です。授業への積極的な参加を求めます。

●なお、これらの今年のゴールを、11月12日(木)午後に設けています。探究成果(中間)発表会に定め、全学年で分かち合います。

③最後に、新型コロナウイルス感染症について触れます。先を見通せない不安の中で暮らしています。自分の命を守れるか、自分が移してしまわないという気持ちもその中の一つでしょう。

●しかし、私たちが最も恐れなければならないのは、実は、「得体のしれない不安そのもの」です。「得体の知れない不安」は、私たちを困惑させ、自分自身を失わせ、生きる活力を減退させます。一色高校3題とは何ですか?「謙虚・気力・持続」ですね。

これに、次の言葉を付け加えなければならないと考えています。それは、「誠実」です。この世の中には、筋道が通らないこと、説明できないことがたくさんあります。これを、不条理といいます。この度の感染症も不条理の一つです。これに対して、私たちができることは、「誠実であること」です。そのことは、昼夜を問わず、日々、患者救済に向けて全身全霊を傾け努力している医師・看護士らの姿にも見ることができます。

「人の気持ちや感情に寄り添うことができる」、「誰に対しても嘘偽りなく正直である」、「物事に対しても真心をもって対応できる」ことなどです。「誠実であること」を行動に移すことを求めます。

●この令和2年度の全学年の目標は、私たちの身の回りの人・ものに気を配り、「誠実で安心できる居心地の良い学校生活の環境」を実現することです。そのためには、新入生の皆さん、2 ・3 年生の皆さんの協力が必要です。「青年」である皆さんに「誠実」な行動を求めます。

「あのね いつの間にか気づいたんだ

愛に もし カタチがあって

それがすでに 私の胸に はまってたなら

きっとずっと 今日よりもっと・・

温かく 増えた 想いは 全部 愛のカタチ・・」

(この続きの詩を聴きたい方は、下記のリンクをクリック!

公式MISIAのYoutube
https://youtu.be/IX87le_EokM

●SDGs、それは私たちの学校生活と暮らしを居心地の良いものにしていくという試みです。それは不条理なこともある世の中の、健全で誠実でありたい人類のひとつの「愛のカタチ」であると思います。そのことに気付かされました。今、これから、あなたは何ができそうですか?

               (学校長)