新しい年を迎えるために〜「哲学対話」を始めます❗️

●令和2年12月24日(木)、2学期終業式を終えました。今みなさんは、ご家庭で心穏やかに生活をしていることでしょう。私もそうした時間を過ごしています。柔道部で活躍した皆さん、牛乳を活用した新しいお菓子を考案した人、情報処理の分野で難関である1級を取得できた人など、みなさんは、私が賞状をお渡した時の「おめでとう!」という言葉では言い尽くせない努力の足跡を残したはずです。そんな努力を私は誇りに思っています。

●今年は、6月に学校が始まり、修学旅行を延期したり、夏休みはいつもよりも短縮したり、互いに気遣いながら学校生活をしたりした1年でした。そんな中でも、体育祭や文化祭、文化鑑賞会など生徒会行事は全て実施できたことを嬉しく思っていることは、お話ししました。そして、今年ももうすぐ終わりです。

●子(ねずみ)年から丑(うし)年に変わっても、世界が、日本が、そして私たちの生活が大きく変わるわけではありません。しかし、この時期は、変革のきっかけをつかむ大きなチャンスであることに違いはありません。変革とは、いつの時代にも、「当たり前のことにしっかりと向き合って、それをきちんとこなすこと」を指しています。

●終業式を終えたその日の午後、校長室でいく人かの2年生の皆さんと、80分程度の楽しい会話の時間を持ちました。そこでしたことは、輪になって、自己紹介をして、その内容について質問を出し合ったりしただけですが、質問をすることを前提にして、人の話を聞くこと、質問をして相手の答えに耳を傾けることなど、対話をすることの楽しさを実感できたと思います。

●このような対話を「哲学対話」と言います。このようにいうと難しいことのように思うかもしれません。私が言う「哲学対話」とは、難しい哲学について議論をするということではありません。

●自分で考えたことを周りの人に伝えようとすれば、どんな言葉を選ぶか、どのように話を組み立てるかについて考えなければなりません。また、自分とは異なる人の意見を聞くことで、自分の考えにある無意識の前提に気が付いたり、自分の立場をより広い視点で意味付けたりすることができるようになります。

●学校生活や日常生活の中からテーマを決めて、自由に思ったことを発言し、互いに質問を出し合うことで、お互いを尊重し、人と人との違いを受け止めることができるようになります。理解し、信頼し合える人間関係は、このような時間を共有することで築かれます。これまで不可解と思ってきた相手ですら、新たな視点で考えるきっかけを与えてくれる存在として受け止めることができるはずです。

●2021年、丑年には、できるだけたくさんのみなさんと、普段の生活で疑問に思っていること、簡単に結論が出そうにないことなどをテーマに、自由な対話の時間(これが「哲学対話」です)を持ちたいと考えています。私がすることは、皆さんの対話に耳を傾けて、より深い思考、本質的な新たな問い、より高みへと導くサポートをすることのみです。必ずしも正解があることばかりではありませんし、仮にあったとしても、それは皆さんが導くことです。知識が必要だとか、分からないことを恐れてはいけません。必要だと感じれば、調べれば良いのです。分からないことを一層明らかにする対話であると思ってください。

●そんな「哲学対話」の「輪」が広がることを期待しています。子年ももうすぐ終わりです。良いお年をお迎えください。

(学校長)