支える人たち~定時制外国人生徒教育支援員~

●授業で、みんなが話している言葉がとぎれとぎれにしかわからない。たぶんこんなことを言っているのかな?でも自信がない。どうしよう?・・・そんな時、同じ言葉を理解できる人がいれば、聞けるのに・・・。

●定時制では、昨年度、3名の外国人生徒教育支援員に勤務していただいた。外国人生徒教育支援員とは、外国語に通じ、外国人生徒の学習やその保護者とのコミュニケーションを支援する先生のことである。定時制では、主に授業に「入り込み」をしてもらい、教員の指示や授業内容について、母国語も交えて支援してもらっている。

●こうした立場の人たちというと、「通訳」というイメージがあるかもしれない。しかし、実際はただの「通訳」ではない。外国籍生徒にとって、彼らは自分の国や言語文化を知る「先生」であり、日本人の先生には聞けないことも聞ける「お兄さん、お姉さん」である。中には日本の大学を卒業した外国籍の支援員もいる。流ちょうな日本語でやり取りし、様々な経験を聞かせてくれる彼は、外国籍生徒にとっての「憧れ」であり、「目標」でもある。

●日本人の生徒にとっても、外国籍の生徒や支援員の存在は、広い世界に目を開かせてくれるきっかけとなる。身近に様々な外国語が聞け、授業では各国の暮らしや社会の様子について生の声が聞ける。

●年に一度、外国人生徒教育支援員をゲストに行ってもらう「グローバル語り部」の授業も好評である。身近に外国人がいても、どの国籍が多いのか、日本でどんな苦労をするのか、そしてどのように日本で生きていきたいと思っているのかを聞く機会は少ない。「誰でも、がんばればどの国でも何でもできるということがわかった。」「すごい苦労をしてきているんだと思った。自分もいろいろなことをもっとがんばりたい。」信念を持ち、努力してきた人の話から得るものは大きい。

●日本人の教員も、支援員から多くのことを学ぶ。授業で生徒がどこでつまずくのか、どんな表現を難しいと感じるのか、どのような説明が効果的なのか。こうした気づきが、文字の大きさから使う言葉、資料の提示の仕方や全体の流れに至るまで、授業の工夫につながっていく。

●今年度の支援員は2名増えて、5名になった。言語は、ポルトガル語、タガログ語、中国語、ベトナム語、スペイン語である。外国籍生徒たちが来日してから、継続して見守っていただいている先生もいれば、この春初めて支援に携わる、かつては自身も外国籍生徒であった先生もいる。いつか定時制を卒業した生徒たちが、同じように外国籍生徒を「支える人」となって帰ってくる日が来るかもしれない。そう思うと、とても楽しみである。

頼もしい5名の支援員の先生方です♪

(岡)